2019 令和推敲版
2011年9月にハーフNDの使い方・種類というタイトルで掲載したこちらの記事ですが、内容が古くなってきたので令和時代となったのを契機に、内容を一部新しくし推敲して掲載します。
目次
ハーフNDは写真の表現の幅が広がります
いつも撮影記を見て頂きありがとうございます(*^-^*)
本当に色んな方々からコメントを頂き、本当に嬉しく思っております!
私は風景写真にてハーフNDを必ずと言っていいほど使用しており、
たまにですがご質問を頂くことがあります。
本当にこういう質問などは、嬉しいですね♪
お互いの技術を共有し合えるのもここのサイトの出会いがあったからだと…なぜだか感謝までしたくなります(^_^;日本はもちろんのこと世界にも素敵な光景が宝のごとく、眠っていると思うだかで…ロマンを感じます。ちょっと…大げさかもしれませんが(^^ゞ
とにかく…ハーフNDを使って撮る風景写真は、【人の目で見た光景に近い写真を撮ることが出来る】アイテムの一つなのでまだお持ちで無い方は、この機会に是非!用意して頂けたら嬉しいです。
私が使用しているハーフNDは主に2種類
左側がハーフND(0.9 ND8相当) ソフトタイプのグラデーション
右側がハーフND(0.9 ND8相当) リバースタイプのグラデーション
ハーフNDを固定する専用のホルダーは無くとも大丈夫
レンズ保護フィルターやC-PLフィルターがレンズ全面に取り付けられるタイプの普通のカメラレンズなら、ハーフNDをレンズに固定する専用の取付部品は無くとも撮影できます。
レンズにピタッとハーフNDを手持ちで添えるだけで、背景の映り込みの心配が無くなります。また専用のホルダーはシステムが複雑なのと+αの出費がかかるので、撮影現場での準備に手間取ったり(特に冬場は寒くて大変)レンズ口径ごとにアタッチメントを用意する必要もでてきます。
基本的には私のほぼ全てのハーフNDを使った写真は、手持ちでの撮影となります。
それでも専用のホルダーを使った撮影もまたお勧めします。
理由の1つに構図が安定すること、不用意な落下が減ること、レンズ前面にフィルターが付けられないタイプの超広角レンズでは手持ちハーフNDだと、背景がフィルターに写り込みそのまま写ってしまうので、そういった場合には手持ち撮影はできません。
キヤノンのEF11-24F4LではNiSiさんのフィルター、横180mmシステムという最大サイズのハーフNDと専用の取付ホルダーが必須となります。
サイズ・ND効果・グラデーション 三つの規格
cokin製品を例に、84mm 100mm 130mmの三種類の幅があります。
84mm、100mm、130mmというのは、フィルターの横幅を表した数値です。
目安に手元にあるレンズの口径が72mmだったら、84mmフィルターでも運用は可能に。レンズ口径が82mmだったら100mmフィルターで運用可能です。
初めて購入される方なら、後々の使用を考えて幅100mmのハーフNDのサイズをお勧めします。
ハーフNDは長さも大切
幅100mmのハーフNDをお勧めするもう一つの理由に、長さもあります。
幅84mmのハーフNDだと長さが100mmとなりますが、
幅100mmのハーフNDだと150mmと長さが伸びます。
これはほぼ各社共通で、幅が長くなると長さも伸びる傾向です。
長さが伸びることで、ハーフNDの減光範囲の調整の自由度が大きくなります。
例えばレンズ口径82mmで例えると、幅84mm長さ100mmだと幅はギリギリセーフですが長さが口径から差し引くと10mm程度しか上下に動かせないことになるので、構図によってはハーフNDの減光の調整が難しい場面が出てきます。
後ほどご紹介する内容に、ハーフNDを手持ちでフリフリと動かす応用技がありますので、ハーフNDは幅もですが長さも大切な選ぶ基準です。
そういった理由もあるので、レンズ口径82mmだったら幅100mmのハーフNDを進めしています。
ND、減光効果は0.3~1.2と種類が豊富
2011年に初めて書いたときは、ハーフNDというアイテムが少なく限られたラインナップしかありませんでしたが、2019年になると販売するメーカーも増えました。
以前は大きく、3種類の減光効果しかないハーフNDでしたが私も使っているNiSiさんのハーフNDを例に出すと、0.3(ND2),0.6 (ND4), 0.9 (ND8), 1.2 (ND16),1.5 (ND32), と5種類の減光効果から選べるように。
これだけあると、どの減光効果を選べば良いか迷うかと思います。
ハーフNDを調べるきっかけはおそらく、日の出や夕焼けの強い明暗差を解消して写すために探し始めたと思いますので、少し強い効果が期待できる0.9 (ND8)タイプをお勧めしたいと思います。
青空とかの減光でしたらもっと弱い効果で大丈夫ですし、より強いダイナミックな効果を期待したいならより強い減光製品を選ばれると良いでしょう。
そういった意味でも中心的な減光効果がある0.9 (ND8)のND濃度のハーフNDをお勧めします。
ハードタイプかソフトタイプ
ND効果の境目が強く出るハードタイプと、境目が優しく出るソフトタイプを表します。
ハードタイプは先鋭で躍動的な風景撮影に向き、
ソフトタイプは自然で人の見たままの光景に近い風景写真が撮れます。
完全に好みの世界なので…初めて購入される場合は癖の少ないソフトタイプをおすすめします。
ハードタイプのソフトフィルターをお勧めしないもう一つの理由に、特殊なタイプのハーフNDの存在があります。
そこら辺は後ほどご紹介いたしますので、先にソフトタイプのハーフNDを使った作例をご覧下さい。
ソフトタイプのハーフND ギャラリー
リバースタイプ ハーフND
先にご紹介したハーフNDのソフトタイプとハードタイプ。それとは別にもう一つの種類があり写真では少しわかりにくいのですが、ハーフND中央が最もND効果、減光率が高く上に行くほど光の透過率が上がるタイプの商品をリバースタイプのハーフNDと呼びます。
通常のハーフNDは中央から上に向かって減光率が高まるので、逆の減光率なのでリバースタイプと呼ばれています。
良く見ると中央が最も高い減光率ですが、中央から下を見ると減光率がしたから中央に向かいわずかにグラデーションをしています。
リバースタイプのハーフNDを使うシチュエーションは、日の出や夕暮れなどの強い逆光時に明暗差を埋めるため使うと最も効果を発揮します。
ハーフNDは大きく3種類
減光効果が緩やかなソフトタイプか、減光効果の強いハードタイプに中心が最も暗く上に向かって減光率が減少するのがリバースタイプとなります。
リバースタイプのハーフND ギャラリー
ハーフND 応用
ハーフNDは単品で使うだけでも面白い撮影アイテムですが、減光された箇所とそうでない箇所との露出のズレからくる違和感が気になったりもします。
露光中にハーフNDを上下へフリフリと動かすことで露出のズレからくる明暗差を目立たなくさせることも可能です。
また、他のフィルターと組み合わせることでさらに面白い写真が撮れたりもします。
ここからは、少し応用的な技をご紹介いたします。
ハーフND フリフリで明暗差をなくす
ハーフNDのソフト系だと、減光している箇所と減光していない箇所との露出のズレからくる違和感は少ないと思います。
これが、ハード系またはリバースタイプのハーフNDになると露出のズレからくる明暗差が大きくなり構図によっては気になる場合がでてきます。
そこでマスターしたい技が、ハーフを上下へフリフリと動かすことです。
当然、カメラを三脚に設置しハーフNDを動かすことでぶれないように確りと設定する必要があります。ハード系またはリバースタイプを使いたいシーンは朝焼けや夕焼けだと思いますので、ISO100にF8.0以上の絞りに設定して撮影すると思いますので、シャッター速度が遅くなるかと思います。
遅くなったシャッター速度の時に、ハーフNDを上下にフリフリまたは上へスライドさせることで明暗差を克服できます。
書かせて頂いている私も毎回成功するわけではありませんので、こちらの写真のように毎回のように失敗写真を連続させますが、決まったときはこのような写真が撮れたりしますので、ぜひチャレンジして下さい!
シャッター速度が下がった方が成功率も上がるので、思い切ってNDフィルターをレンズに取付てその上からハーフNDをフリフリと動かすのも大いにあります。
フリフリ失敗例
フリフリ成功例
ハーフND+カラーハーフフィルター 重ねる
ハーフNDで減光させた空の色をよりドラマチックに再現するために、カラー系のハーフフィルターを使う手法もあります。
後処理でデジタル補正できるでしょ…と言われればそれまでですがデジタルより確実にアナログで補正を入れた方がノイズも少なく、仕上がりがそのまま現地で確認できるので撮り直しなどにも便利なので、少しマニアックですがカラー系のハーフフィルターもお勧めします。
私は朝焼けを良く撮影するので、マゼンタ系のカラー系のハーフフィルターを使っています。
ハーフND+カラーハーフフィルター ギャラリー
ND400+ハーフND 重ねがけ
ND400で大幅に減光させ、スローシャッターで雲海の表現をかえつつ、リバースタイプのハーフNDで日の出の空との明暗差を埋めています。
可能であれば露光中、ハーフNDを上下にフリフリさせながら境界線を滑らかにさせることで、より自然な一枚に仕上がります。
または、ND400まで行かなくともND8など少し減光させることでシャッター速度を遅くし、ハーフNDを上下へフリフリ動かすだけの動作時間を作るためにも有効な手段の1つです。
ブレの原因にも繋がるので、フリフリ中は慎重な操作が求められます。
ハーフNDで演出
ここからは完全な応用技。ハーフNDを使う必要がない場面であえて使う事で普段見られない光景に演出することもできます。何が正解かはわかりませんので、色々と試すことでハッとする一枚が撮れるかもしれません。
お遊び写真ですが、夏の天の川とリバースタイプのハーフNDで減光した下の写真とを合成して一枚の写真にしています。
ハーフNDをわざわざ使わなくとも合成できるでしょう…と思うかもしれませんがおそらくは不自然な合成写真になったと思います。
経験上、地上の光景と天の川の合成だとアナログ補正を徹底的に行った写真を使わないと不自然な合成写真になりがちなので、このような写真に興味のある方はデジタル合成を極める前にアナログ補正の写真を撮れるようにする方が手っ取り早い気がします。
ハーフND おすすめは
これがむずかしい…。
私が現在使っているメーカーは FORMATT HITECH 、NiSi、ケンコーとLEEの4社のハーフNDを使っています。
特に使用頻度が高いのが、 FORMATT HITECHやLEEの樹脂製の製品です。
おそらく大体の方は、ガラス製のNiSiやケンコーをお勧めすると思います。私もおそらくガラス製をお勧めすると思いますが、樹脂製の最大の利点が落としても割れないというところです!
私の撮影スタイルは手持ちで気軽にハーフNDを合い言葉に、気が向いたら鞄からサッと取り出して撮影しています。
わざわざハーフNDを取り付けるホルダーを用意してセットしてとなると、面倒で面倒で…おそらく私の正確では長続きしません。
お勧めの基準の1つにハーフNDを固定するホルダーを購入して毎回セットするのが億劫であるかないか…面倒と感じるなら落としてもラフに扱っても割れないプラスチック製のFORMATT HITECHかLEE、撮影ごとに真面目にホルダーをセットできる方ならガラス製の製品という選び方もあります。
樹脂製とガラス製の違い
簡単にですが、ハーフNDの樹脂製とガラス製の違いをまとめます。
樹脂製は塗装が染みこんでいると言うのでしょうか、密着感が半端ないので露光中にハーフNDを上下にフリフリ動かしても塗装はがれの心配はありません。
プラスチックなので、傷は簡単に付く傾向ですが写真の写りに悪さをすることは確認できません。
反面、ガラス製の塗装はあくまでガラス面に付着している感じなので露光中のフリフリ動作は塗装はがれの心配もあるので、慎重にする必要がありそうです。
価格で見ると中国製の方が安く、同じ幅100mm長さ150mmで比較するとFORMATT HITECHだと30,000円(LEEで22,000円)するのが、ガラス製だと半額ほどで購入できたりします。
後は耐久性ですが、2010年当たりからFORMATT HITECHのハーフNDを使っていますが、樹脂が劣化したとか塗装が剥がれたとかはありません。そもそも、樹脂製のフィルターは歴史が長いので、安心感は高いと思います。
ガラス製は私が使い始めたのも2016年からとあり、耐久性は未知数です。ガラスなので純粋な耐久性は高いですが、塗装はあくまでガラス面への付着なので不意なこすれによる塗装剥がれ心配なのと、ガラスは傷は付きにくいのですが一度傷が付くと使えなくなるのでは…とも思っております。
性能としてはどれも満足のできる製品なので、ハーフNDを手持ちで使う事が多い、露光中にフリフリしたくなる方は樹脂製。
購入費を安くしたい方や固定用ホルダーを撮影ごとに使える方は、ガラス製をという選び方も有りだと思います。
樹脂製 | ガラス製 | |
耐久性 | 落としても割れない反面、傷は付きやすいが写りに影響なし 曲げにも強いので気軽に鞄に収納 | 落としたら割れる可能性があるが、傷は付きにくい 運搬には専用ケースは必要 |
原産国 | FORMATT HITECHとLEEは主にイギリス製 | NiSiなど中国製が多い傾向 |
塗装 | 樹脂に吸着、剥がれない!? | ガラスに付着、剥がれる可能性が? |
経年劣化 | 9年間使ったが劣化は確認できず 歴史も長いので、安心感はある | ガラスの劣化は無視できるが塗装は…? 歴史が浅く劣化の確認はこれから |
種類 | 豊富 | 少なめだが唯一180mm幅がある |
価格 | 全般的に高い | 比較すると安価 |
裏技 手持ちでカメラとハーフNDを同時に使う
10秒間のタイマー撮影に設定するだけでOK
三脚が用意する暇も無い状況や、三脚を忘れた方…セッティングが面倒な方には手持ちでの撮影でもハーフNDは使えます。
セルフタイマーにカメラを設定し、ハーフNDを落とさないように気をつけながらレンズ前に持ってきてピント合わせと露出合わせをしてからシャッターボタンを押します。
後は、シャッターが開くまで構図とハーフNDの位置をファインダーで確認しながら10秒間待ちます。
まとめ
近年はRAWからの現像では階調再現が良くなったためか、ハーフNDを使わなくともデジタル処理である程度でしたら修整が可能なので必要性が少なくなってきたのかもしれません。
それでもある程度の補正という条件付きなのと、ハーフNDを使い慣れていない方がデジタル処理で明暗差を修整すると…あれ!?と思える写真をたまに見かけます。アナログ補正を多用する者から見ると、デジタル処理した写真には少なからず違和感を感じるので、デジタル処理が気軽にできるようになった昨今だからこそ、ハーフNDを使ったアナログ補正を確りと学ばれた方が、より素敵な写真になるかと思っております。
そのためにも撮影中の機材を少しでも減らすことができなおかつ、思い立ったらすぐに撮影できる手持ちのハーフND撮影をお勧めします。
ガラス製と樹脂製の両方のハーフNDを使っていますが、レンズフィルターが取り付けられるタイプのレンズでの撮影では専用のホルダーなしの樹脂製をお勧めしたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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