目次
まだまだ星空教室は続きます
星空の撮り方シリーズ第五回。やっとここまで来ることが出来ました(*^-^*)
これも日頃から星空教室を見て頂いている方々の熱い応援のお陰だと思います!
これからもなにとぞよろしくお願いします(o_ _)
【日周運動の撮影】
今回は、星空固定撮影の中でも星々の光跡を撮影する方法についてレポートさせて頂きます。日周運動…ネットで検索したら色々な説明文が見つかると思いまが、地球の自転により星々が見かけ上の動いて見える現象です。日周運動は人類史が始まった紀元前~現代に至るまで数々の文明で研究され色んな表現がなされてきました。歴史をひもとく程の知識までは私にありませんが、写真撮影において少しでも星の知識等を共有できたら本当に撮影が楽しめると思いますし、本当に素敵な写真が撮られる気がします(*^-^*)
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【日周運動の撮影方法】
■バルブモードを使った10、20分間の長秒時撮影。
■比較明コンポジットを使った連続撮影。
大きく分けると上記の二つの撮影方法があります。
どちらが優れているか撮影が簡単とかは一概に言えませんが特徴を紹介していきます。
【バルブモードを使った10、20、60分間の長秒時撮影】
フィルム時代にはこれしか撮影方法が無かったとも言えますが、バルブモードにカメラを設定しレリーズボタンを使いシャッターを開き続け撮影するスタイルです。デジタル一眼レフでも撮影出来るスタイルですが、フィルムにある相反則不軌(ザックリと長秒時撮影で感度が低下する現象)が起こらないので、撮影時間が長くなると光害等を拾い画面が白く飽和する可能性があります。またノイズ面で長秒時撮影するほどホットピクセル等のノイズが大量に湧いて来るのがネックですが、なによりバッテリーの心配が大きいと思います。カメラの設定で長秒時露光のノイズ低減処理をONにすると露光時間と同等の処理時間を要し、露光20分だと往復40分間の撮影となり、バッテリーの心配が出ますよね。特にこれからの寒い時期だと想像以上にバッテリーは持ちません。
こう言ったデメリットの面から、デジタル一眼レフに移行してからはバルブモードで日周運動撮影をしている方はあまり見かけなくなりました。
ただ、バッテリーとノイズ面の心配を克服できたらこの撮影方法は面白くなります。
バッテリーグリップを別途購入すれば、バッテリーを2個装着できますよね。また、外部電源で駆動できるキットを購入するのもお勧めします。
バルブ撮影に適したシーンでは、流星群や国際宇宙ステーションの光跡、特に【薄曇りの星空】があり、後ほど紹介する比較明コンポジットの最大の弱点「雲」が有る中での撮影に威力を発揮します。比較明コンポジットだと合成時に、雲の流れが不自然に描写されますがバルブ撮影だと、光害の少ない薄曇りなら星の光跡に若干出るだけで済みます。なにより長秒時撮影で写すことが出来る空気感は写真のクオリティーを飛躍的に高めてくれると思います(*^-^*)
こちらの参考写真を見てみましょう。
この日は、雲が撮影中に何度も通過する悪条件でしたが、バルブ撮影を行うことで雲が写らなくて済みました。若干星の光跡が途切れたところが残念です。
ISO100まで下げたらおそらく30分は行けると思います。逆にISOを200や300に設定すると10分程度でこの写真の明るさに写ると思ってください。超広角レンズでこの移動量なので、焦点距離が伸びるにつれて移動量も多くなるので構図しだいで面白い写真が撮られるかもしれません。
もっと具体的なデータがあれば良いのですが…感が頼りの撮影の面が強いので、色々設定を変えながら撮影して下さい。
☆撮影条件として光害が少ない星空、三日月の明かりすら邪魔になるので本撮影の前に一度、テスト撮影を行って露光時間を確認して下さい。また、バッテリーには常に気を配り長秒時露光の補正をONされている場合には往復分のバッテリーがあるかも確認しましょう。
☆バルブモードの撮影設定
撮影モードはバルブ(B)に設定(カメラによりマニュアルモード内にあることも)
シャッター速度 5~20分間
絞り開放~F5前後
ISO400~100
ピクチャースタイルはニュートラル(星をより大きく写せます)
長秒時露光の補正 カメラによると思うのですがEOS-1D Mark IVだと800秒程度ならしなくても良いかなと…特にモノクロ化されるならノイズも絵になるので設定は常時OFFもありです。逆に気温の高い夏場はノイズが酷いので、必ずONをお勧めします。
※キヤノンだけかもしれませんが、カメラ内のミラーにより画面一部がケラレる現象が起こります。カメラでケラレる状況が異なるかもしれませんので、その都度トリミングするのを前提で構図を決めるとよいです。
長秒時露光補正OFF 左側ケラレのためトリミング。
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【比較明コンポジットを使った連続撮影】
20秒×1642枚 総露出時間32840秒
デジタルの時代だからこそ実行出来るようになりました。連続撮影した複数枚の星空写真をパソコンで一枚の写真に合成し、星の光跡を再現する撮影方法です。
ganrefサイトでもおそらく日周運動撮影で最も比較明コンポジットが活用されていると思われます。撮影条件も大変応用に富み、一枚の星もしくは景色も写し込んだ写真を撮ることに注視するだけで済み、以後は連続で撮影した写真をコンポジット(合成)するだけで一時間クラスの日周運動撮影が楽しめたりします。一枚の写真に星や景色が写っていればよいので、月明かりや街明かりがあっても自由なカメラ設定ができるので撮影の問題点は大幅に減らせることから、夜景を絡めた日周運動撮影も可能にさせてくれます。なによりバッテリーが仮に切れても、あくまで一枚の写真を撮っているので被害は最小限で済みますね♪
▼良いことだらけですがデメリットもあり、最大の敵【雲】があると一枚一枚の雲の描写が異なり下記の写真のようなまだら模様の雲が写ります。
雲のあまり無い星空が条件となるので、意外と撮影日を選びます。
これも問題なのですが、撮影から次の撮影に移るシャッターラグの間に星の光跡に隙間が出来ます。超広角ならそれほど目立ちませんが、広角系のレンズだと目立ってきます。
また、長秒時露光で写すことが出来る独特の世界観は比較明コンポジットではなかなか得られず、厚みのない写真になりがちなのが痛いところです。
☆比較明コンポジットの撮影設定
撮影モードはマニュアルに設定
シャッター速度30秒以内
絞り開放~F5前後
ISO1600~400
ピクチャースタイル ニュートラル(星をより大きく写せます)
撮影モードは連続撮影
長秒時露光の補正はOFFにする。
記録形式は、メモリー容量と後の処理を楽にするにもjpegで保存するのをお勧めします。RAWだと現像するだけで大変な目に遭います(^^ゞ
合成ソフト
●フォトショップ http://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html
●ステライメージ http://www.astroarts.co.jp/
●SiriusComp(フリー) http://phaku.net/siriuscomp/
どれが良いかと聞かれると…最終的に極めるなら必ず「ステライメージ」をお勧めします。比較明以外にも天体写真向けの画像処理を深く追求できます。購入金額もかかるので、まずはフリーソフトで初め…何時か必ず越えられない壁に当たるのでその時に購入されるのが良いと思います。
6秒の壁
【光跡の間隔ともおさらば!?】
比較明コンポジットのデメリットでシャッター間隔、タイムラグにより星の光跡に隙間が生じ、日周運動が点線みたいに描かれる事です。
そこでキヤノンだけの問題かも知れませんが、シャッター速度6秒と8秒ではタイムラグに大きな違いがあります。これはX4やEOS-1D Mark IVでも同じ現象になります。
下記の参考写真を見てください。
EOSKissX4 EF-S10-22mm 10mm F5 シャッター速度6秒 8秒
200%に拡大していますが、8秒の方が光跡に間隔が生じカクカクしたドットに見えます。10mm(Full16mm)の超広角域でもこの差なので、17mm(Full27.2mm)の広角域だとさらに差が出てきます。
もし比較明コンポジットで星の光跡の間隔で悩まれている場合、「シャッター速度を6秒以内」に収まるようにF値やISOを調整してみると良いでしょう。
それだけ、比較明コンポジットでは「6秒の壁」は越えたくない領域です。
【デジタル処理で6秒の壁を越えられる!?】
科学の進歩は凄いですね…「ステライメージステライメージ Ver.6・6.0h」でついに「越えたくなかった6秒の壁」を突破出来そうです。
詳しくはこちらに http://www.astroarts.co.jp/news/2011/07/05stlimg60h/index-j.shtml
サンプル写真も掲載します。
10mm 8秒で撮影した比較明コンポジット
明るさが異なりますが、背景レベルを減算し忘れたからなので心配する必要はありません。
星の間隔が解消されています。設定次第では色んな撮影条件に応用できますね。
【魔法のソフトフィルター】
それが…サンプル写真がどこかで無くしてしまって(>_<)しかも文字制限が…(^_^;
これは、後日ソフトフィルターの使い方シリーズでまとめさせて頂きます(_ _)
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最後になりましたが、バルブ撮影、比較明コンポジット共通ですが天敵「夜露」の対策は必須でして、最近私が仕入れたモノで「ハクキンカイロ」がありAmazonで購入しました。大阪らしいパッケージが熱い商品ですが、懐炉としても熱くこの前の知床遠征では大活躍しました。もし、夜露対策で商品を探されている方はお勧めしますが…東京旅行で知りましたが機内には一切持ち込めないのね(^_^;…なので、 固形燃料を燃やすハンドウォーマーが遠征時には良さそうです。
この度も最後まで読んで頂きありがとうございます。
疑問点や改善点は何なりとコメントください(*^-^*)
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