今回は、星空写真の画像処理についてレポートさせて頂きます。
「Astronomik EOS Clip-Filter CLS」を買っちゃいました♪
改造ボディータイプの商品と最後まで悩みましたが、無改造タイプのフィルターで落ち着きました。
改造ボディータイプ用のフィルターの波長カットが多すぎることが、今回選ばなかった理由です。
この撮影記を書いているということは…そのレビューか!
と思われるかもしれませんが、今回の撮影記では無しです(^^
次々回あたりで、レビューしたいなと思っています。
画像処理の前に撮影技術が最も大切
画像処理テーマもここGANREFサイトで色んな方が、レポートされどれも読み応えのある内容を書かれているので、今更書く必要もないかな…と思っていますが私なりの画像処理のやり方で少しでも参考になって頂けるならと思い書かせて頂きます。
画像処理でよく出てくる言葉に「トーンカーブをS字に…」を見かけますが、これからやろうとする私の画像処理もこのS字カーブを基本とします。
S字は、トーンカーブの中心から右側のハイライト部分を上に移動して持ち上げ、天の川を浮かび上がらせ、左側のシャドー部分を下げることで夜空の暗部をさらに暗くさせるための処理方法です。
ただ多くの星空写真でのS字カーブの画像処理では、特に天の川を強調処理するために使われている傾向が強くあると思っています。
シャッター速度20秒前後に、F2.8、ISO3200などの撮影条件では、天の川というか星空全体の露出不足から来る慢性的に不足がちな色情報量から、写真のヒストグラムを見たらおそらく、殆どの分布が左側に寄っていると思います。写真としてはバランスの悪い状態のデータが撮られていると思われます。
無理矢理、天の川を強調するためにS字カーブが使われるので、意図しないノイズも増えてきます。
カメラの高感度性能が悪いからノイズの多い星空写真が…というより露出不足から来る色情報不足の元写真データから半ば強引にS字カーブで星空を強調する弊害によって、ノイズが多い星空写真が撮られている傾向が強いなと感じています。
天文写真の世界では、一時間単位の露出は当たり前の世界なのでそれだけ星空は暗く色情報が乏しい被写体だと言えます。
ここで正しいS字カーブの攻め方は、露出の確りと得られた星空写真は豊かな色情報量から必ずヒストグラムが中央付近にあり、このトーンカーブ中央中心を軸にハイライト・シャドーを上げ下げして画像処理するのが、最も理想的な力学的バランスを得られるS字カーブ攻略法です。
理想的なS字カーブで補正された星空写真からは、同じカメラで撮影したとは思えない低ノイズと豊かな色情報が楽しめる星空写真が楽しめます。
勝手に命名すると「ヤジロベエ戦法」とでも言っておきましょう(^^ゞ
■この「ヤジロベエ戦法」で決める場合には、条件にヒストグラムを中央に持ってくるということが必須条件となります。
そのために必要な道具を書き出してみます。
・最低F2.8の明るいレンズ
・ISO3200以上(理想は6400~)の常用高感度対応のカメラ
・ポータブル赤道儀
最低2個、どの組み合わせでもヒストグラムを中央に持ってくることが可能です。
もしなければ、新たに購入する金額が必要となるので…この機会に揃えるのも良いですが、下記条件を上手く取り入れば新たに道具を購入する必要はなくなりそうです。
・月明かりで撮る星空写真
・10分・20分のバルブ撮影
・日の出日の入りの天文薄明での撮影
足りない色情報を月明かりで照らしてくれるか、長時間撮影で色を集めるか、天文薄明で色を添えることでヒストグラムを中央に持ってくることが可能です。
■実際に「ヤジロベエ戦法」を試してみましょう。
ここから先はPhotoshopを使った解説となります。なくてもトーンカーブが調整できるソフトなら挑戦可能です。
元画像をこちらから入手してください♪
●http://www.2983.info/ganref/1112.jpg
F4の暗い魚眼レンズですが、赤道儀とISO12800の二つの条件を使ったため撮影できました。さらにマルチショットノイズ低減で低ノイズを実現しています。
A:元画像です。少し赤みが強い傾向がヒストグラムから確認できます。
B:トーンカーブを動かすなどでヒストグラムの山を合わせることも可能ですが、面倒なので自動カラー補正で処理します。
C:トーンカーブを開き、ヒストグラム中央の中心に軸①を基準にして、②を上に持ち上げ全体のバランスを見ていきます。あそこまであげた状態で全体のバランスが良いと判断したので画像処理はあれで終了です。
●http://www.2983.info/ganref/1113.jpg
ISO200とF3.5という設定ですが、露出を30分というバルブ撮影で淡い星空の光を集めました。比較明コンポジットでは成し得ない豊かな色情報量から来る、星の色の美しさと星の光跡が切れてな~い♪写真はバルブ撮影ならではの完成度です。
A:これも同じく、赤色に偏った状態です。ホワイトバランスをオートにするとだいたい、こういう色合いになります。
B:ここも雑に自動カラー補正で仕上げます。
C:ここでも中央中心①軸を支点に、②を上に持ち上げてバランスを探ります。
意外と光害の強い場所なので、このままでは町明かりが強くなりすぎるのを補正するために、③でハイライトの階調を維持しつつ、④を少しあげて周辺領域のレンズ減光(F5.6ぐらいまで絞り込めば回避できました…)が黒く沈み込みすぎないよう維持しながら、ルニレの木の幹が黒く潰れないように補正もしています。
●http://www.2983.info/ganref/1114.jpg
F3.5と暗いレンズですが、ISO25600という暴力的な高感度で撮影しました。
ハルニレの木が光害で色がつくほど、本当は星空撮影には適さない場所です。
A:これも赤いですね…(^0^;)
B:だらけきった自動カラー補正を…。
C:中央に支点を置いたヤジロベエ戦法をここでも決行!
補正後だと少し、周辺減光が目立つのと木の幹が黒く潰れがちなので、暗部を少し持ち上げるとさらに良いと思います。
●http://www.2983.info/ganref/1111.jpg
最後は失敗写真から…。F4、ISO3200ですが赤道儀を使って120秒間露出しています。ただ冬の天の川を写しには露光不足でした…300秒は撮影したいです。
A:ヒストグラムが中央まで来ていないので、「ヤジロベエ戦法」は使えません。
ここまで来ると強引にS字カーブを曲がるしかないので、ヒストグラムの山②まで持ち上げ、ヒストグラムの尻尾③支点を固定して天の川を強調させます。
副作用でハイライトが飛ぶので、①を下げてハイライトの階調を維持しつつ、④をあげて暗部の潰れ込みを補正させます。
B:トーンカーブを動かし終えたらヒストグラムを確認して、中央まで近づいたら補正完了と思ってください。ただ、今回の場合は赤く囲ったヒストグラムの山をグリーンが先行する形で、画像全体にもその影響が出ているので自動カラー補正でさらっと修正させます。
C:ブルー系が若干先行の理想的なヒストグラムとなりました。
が…画像処理で無理矢理、天の川を強調させたために出てくるレンズの妖精「青ハロ」ちゃんが見られますね(..;)色収差で生じた色情報のズレが一緒に強調されたために発生するやっかいな問題です。
D:この妖精退治をしたのがこちらの写真です。
この青ハロちゃんの退治方法は…次回につづく♪
画像処理は写真とって、縁の下の力持ち的な存在が理想だと思います。
星空写真も通常写真も、画像処理をする元データがちゃんと撮られていないと全く先には進まないので…写真という趣味はお金がかかりますね(^^
・最低F2.8の明るいレンズ
・ISO3200以上の常用カメラ
・ポータブル赤道儀
最低2個の組み合わせを作るために、さらにお金を投資するか…。
・月明かりで撮る星空写真
・10分・20分のバルブ撮影
・日の出日の入りの天文薄明での撮影
でローコストで美しい写真を撮るか…。
一番確実なのは投資をして、色んな条件の星空写真を撮ることかも…(^^;)
★その手引きになるかもしれない星空教室総合案内所はこちらです★
今回も最後まで読んで頂き…ありがとうございます(^^)
次回は、いよいよ妖精ちゃんとのバトルです!
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