Rec.709 DCI-P3対応の 4K HDRプロジェクター
昔から気になっていたプロジェクターメーカー、BenQさんの最新機種 HT3550を借りられるチャンスに巡り会えましたので、我が家にある100インチスクリーンに投影し徹底的にレビューしたいと思います。
BenQ 最新のモバイルプロジェクターGS2のレビューはこちら
使用機材
プロジェクター:BenQ HT3550
AVアンプ:マランツ SR7010
スピーカーシステム:5.1.2 Dolby Atmos フロント:MONITER AUDIO BRONZE 1 センター:BRONZE CENTER リア:BRONZE FX サブウーハー:BRONZE W10 天井埋め込み:JBL Studio 2 6IC
スクリーン:キクチ科学研究所 Stylist SR ホワイトマットアドバンス(WA) 100インチ 手動スクリーン
4K再生機材:PS4 Pro ゲームソフト:Marvel’s Spider-Man / Xbox One X 映画ソフト:4K Ultra HD Blu-ray(グレイテスト・ショーマン)
目次
特徴
HT3550はネイティブ4K解像度(3840×2160)で投影できるDLPプロジェクターです。これは、1080p DMDを1秒間に4倍速(240Hz)で駆動させて画面上に830万の画素を生成させ投影する技術で 「830万画素による本物の4K UHD性能」を達成しています。また、映画業界の基準カラーベースDCI-P3を95%カバレッジ、Rec.709に至っては100%の広色域カラーをサポート。
写真や映像編集向けのカラーマネージメントモニターもラインナップするメーカーとあり、カラーへの再現性に強い4Kプロジェクターです。
また、100インチスクリーンへ2.5mの投影距離で映し出せる短焦点タイプの珍しい4Kプロジェクターとあり、本体内蔵の高音質ステレオスピーカーと2.5Aの高いUSB給電もサポートすることから、2つあるHDCP2.2対応のHDMI端子に1つはゲーム機、もう片方にFire TV Stick 4Kを同時に繋げて使用することも可能なので、4~5畳の部屋でも大画面で映画とゲームが楽しめます。
HDR10とHLGにも対応しているので、豊かな明暗差と非常に広いカラーをネイティブ4K解像度で短い投影距離で再現する本機種は、日本の住環境にマッチした商品になりそうです。
外見
全体的に丸みを帯びた外見とホワイトを基調にしたデザインとなります。丸みがあるので、手での持ち運びも楽です。
ズームは1.3倍 シフトは微調整用に
120インチへ投影する距離は3.01m~3.94mという範囲で調整が可能となり特に、3mで120インチへ投影できる距離は短焦点プロジェクターの部類に入るかと思います。上下だけならレンズシフトできますが、あくまで微調整程度のシフト量しかありません。
シフト量は10%と少ないのですが、自動台形補正を搭載しているのでテーブルの上や天吊りで配置しても台形型に歪んだ画像を自動で修正してくれます。
※手動補正も可能です。
入力端子一覧
2つあるHDMI端子は両方ともHDCP2.2対応なのが嬉しいです。本機種はテーブルの上に置いての運用も前提とした作りなので、 USB2.0 (5V / 2.5A電源) の強い給電機能も搭載しているのも特徴です。
USB3.0及び、USB2.0ではメディアリーダー的な使い方が可能となり、ビデオフォーマットは MPEG1,MPEG4,H.263,Motion JPEGが対応しています。
JPEGにも対応しているので、写真再生にも使えたりします。
USB Type mini Bは、本機種のファームウェアのアップグレード時に使う可能性がありそうです。
12Vトリガーはホームシアターをスマートに完成させたい方のための必需品。一般的な接続方法でしたら、電動スクリーンと本機種を12Vトリガー同士で接続することで例えば、プロジェクターの電源のON,OFFに連動して自動でスクリーンを昇降させることが可能となります。
個人的には電動で昇降するより、手動で昇降させた方がよりシアター的な雰囲気がでるので、手動昇降の方が好みです。
内蔵スピーカーが高音質でびっくり
SPDIF 出力ポートオーディオやオーディオ出力ジャックがあるので、例えばPS4やXboxをHDMIケーブルで本機種と接続後に、外部スピーカーなどへ接続することでより高音質なオーディオ環境の構築が可能となります。
音質から見れば、外部スピーカーへの接続での再生の方がより高音質なのは当然なのですが、本機種は5W出力のスピーカーを二つ搭載しているので、オマケ程度だったプロジェクター内蔵のスピーカーとは月とすっぽんほどの音質の違いがあります。
「Cinema Master Audio+2」というサウンドエンハンス技術を使用しているそうなので、高音質で臨場感のある音が聞けたのかもしれません。
プリセットサウンドモードは( 標準、シネマ、音楽、ゲーム、スポーツ および ユーザー)が用意され、特にユーザーモードは希望の周波数帯域 (100 Hz、300 Hz、1 kHz、3 kHz、10 kHz)から好みに応じてレベル調整が可能なほど凝った作りです。
Xboxを本機種と接続して感動したのが、4K解像度の前に内蔵スピーカーの高音質なところにビックリです!
Fire TV Stickを直付けOK
USB給電で配線回りがスッキ
HDMI端子が二つ並ぶ配列だったので、Fire TV Stickを接続するともう片方のHDMI端子が使えなくなるのでは…と少し不安でしたが実際に取り付けてみると問題ないことを確認。給電用のUSBケーブルも干渉せずに配線が可能です。HDMI①にPS4 ProやXbox One Xを接続しつつ、HDMI②でAmazonプライムビデオなども同時に楽しめます。
入出力端子周りのグレーのメッシュのところがスピーカー部分となり、テーブルの上に置いたプロジェクターからダイレクトに音が鳴り響く仕様となります。内蔵スピーカーとしては極めて高音質なので満足できるオーディオが楽しめると思いますが、グレードアップさせたい場合はBluetoothスピーカーなどをSPDIFか
オーディオジャック出力から接続させます。
実際に使ってみると十分な音質が出ているので、今手持ちにBluetoothスピーカーなどあれば試しで接続するのもありですが別途購入される場合は、有名メーカーの確りとした商品を購入しないと音質のグレードアップにならないのでは。と思わされる高音質な内蔵スピーカーをHT3550は搭載しています。
2.3mで90インチへ投影可能!
自動台形補正で煩わしい調整も不要
2000㏐の明るさは日中でも楽しめます
1.3倍ズームにより通常のプロジェクターから比べ、短い距離で大画面へ投影が可能な短焦点タイプのHT3550プロジェクター。2.3mで90インチへ投影可能なので設置の自由度が高まります。
自動台形補正が備わっているので使いたいときだけテーブルの上に置いてから、スクリーンへ投影し台形補正をボタン操作で自動修正されるので、気軽にプロジェクターが使えそうです。
以前使っていたフルHDプロジェクターより近くで見た場合(スクリーンから2mほど)、投影した映像がとても見やすいです。色々と調べてみると、4K解像度ではスクリーンの高さの1.5倍まで近づいて見ても映像の破綻が少ないそうなので90インチの高さを1.2mとした場合、1.8m~映像が楽しめることになります。
狭い住環境でも大画面に投影できる短い焦点距離とネイティブ4K解像度のお陰で、近くで見ても映像が楽しめるのがHT3550となります。
また、2000㏐の投影の明るさは際だって明るい方ではありませんが日中でもカーテンを閉めさえすれば、問題なく投影できたのでいつでも楽しめそうです。
2.3mの投影距離で90インチの大画面を近くで楽しめ、高音質な内蔵スピーカーと使い勝手の良い入出力端子から設置場所が限られる日本の住環境に最も適した、4K HDR プロジェクターはHT3550なのかもと思えるほど良くできた商品です。
基本のピクチャモードは6種類
- 明るい :投写画像の輝度を最大限にします。カラーバランスが狂うのであくまでも緊急用途として通常は使う事が無いかと思います。
- ビビットテレビ :室内の明かり、環境光があるなかでの投影に最も適したモードです。日中や夜の室内照明が十分に明るい状態でも鮮やかな発色で映像を投影できるので、おそらく最も使うピクチャモードだと思います。
- シネマ :照明を調光あるいは一部消灯させることで少し暗くした室内、リビングシアターのような若干の環境光がある部屋で見る映画に最も適したモードです。ビビットテレビモードでは飽和したカラーも奥行きのある鮮やかな発色が 再現されるので、優しい環境光で映画を楽しむならシネマピクチャモードがお勧め。
- D.シネマ :室内の明かりを全て消した映画館のような暗い部屋、シアタールームに適したモードです。Rec.709を100%カバーしているので、より味わい深いカラーと明暗差のあるコントラストが特徴です。4K解像度と相まってSDRコンテンツの良さを最大限に楽しみたい方にはこのモードしか選択肢は無いのかなと言うほど見事な投影が楽しめます。
- ユーザー :自分好みに設定したピクチャメニューを登録するときに使うモードです。もちろん、各モードでも細かく調整できそのまま設定を上書き保存できます。
- HDR10 :隠しメニューです。HDR10のコンテンツを検出されたときに自動でこちらのモードへ切り替わります。HLGコンテンツを検出時にも同じ挙動で自動的にこちらのモードへ移行します。※マニュアル設定で自動切り替えを解除することも可能。
ビビットテレビモードは 2000㏐と相まって 本当に明るい室内でもキレイな映像を見せてくれるので、明るいリビングシアターでの投影を考えられている方にも安心してお勧めできる4Kプロジェクターです。
ピクチャモードでシネマとD.シネマ、環境光が少ない部屋という条件ならD.シネマが理想の投影モードとなりますが、個人的にはシネマモードの方がメリハリが効いた描写を見せてくれるので、視聴中はほぼシネマモードを自分流にカスタマイズしてテストしたほどなので、投影先のスクリーンや壁紙の質感などに応じても投影した印象が変わるかと思いますので、色々と試されるのをお勧めします。
冷却用のファンの音が少し煩わしい感じるシーンもありましたので、映画を見るときにはシネマモードのランプ光源を省電力モードにしてより静かに、そして低ルーメンでもメリハリのある映像が楽しめます。
HDR10モードでは、HDR輝度を±2で調整できますので映画ソフトに応じて微調整が可能となります。私はSDRコンテンツに少し近い描写が好みだったので輝度を+1に上げてHDR効果を少し薄めるのが好みです。
実はまだ隠しモードがありまして、ISF Night&ISF Dayと3Dがあります。ISFはISF(Imaging Science Foundation)認定の設置技術者が設定できるモードなので一般的な使用方法では無視して良いと思います。
3DモードはHDR10と同じで、コンテンツを検出時に自動選択されます。
100インチスクリーンへ投影
天吊りで使用される場合に注意したいのが投影レンズ。投影レンズ(光軸)が本体中央にありませんので、天吊り金具がスクリーン中央にセットされている場合、光軸を中央まで取付金具を使い工夫しながら移動させる必要があります。
縦の歪みの補正は自動処理が可能ですが、横の補正はできません。
ここら辺は垂直シフトや自動台形補正しかない本機種の弱点の一つです。
当方のリビングシアターもスクリーン中央にプロジェクター天吊り金具がセットされているので、取付に手間取りましたが無事に光軸をスクリーン中央へ。
天吊り金具は、光軸の移動が比較的に容易な商品を購入された方が後々、色んなプロジェクターを取り付けるときに便利なので、利便性と耐久性を兼ねてよい商品を購入されるのをお勧めします。
光軸合わせに便利な網の目状のテストパターンを投影するメニューも備わっているので、精密に合わせることが可能となります。
私は、SANUS VMPR1sを天吊り金具に使用しています。
また、Ultra HD Blu-rayを投影する予定でしたらHDMIケーブルの選択も注意してください。
ATS direct HDMIケーブル 12m 4K2K 60p 4.4.4 HDR動作というケーブルを使ってプロジェクターと接続しています。
DCI-P3 95% Rec.709 100% 驚異の色再現度
本機種はプロフェッショナルモニターに匹敵するカラーカバー率を誇ります。Rec.709を完全に再現しているのは当然、非常に広い色域を再現する映画規格DCI-P3を95%もカバーしているので、HDR10などで再現されるBT.2020の色域も比較的に広くカバーしているのが特徴です。
※HT3550は、カラーマネージメントモニターと同じように一つ一つカラー精度をテスト。その結果が印刷された書類が商品と一緒に同封されています。
PS4 Pro
Marvel’s Spider-Man HDR比較
ネイティブ4K解像度のプロジェクターなのでMarvel’s Spider-Manの広い世界観が、天吊りのHT3550から投影された100インチスクリーンに映えます!
解像度に見とれた後に、HDR10のテストを行います。本機種は、HDR10のコンテンツを検出時に自動でピクチャモードが切り替わるので煩わしい設定が必要ありません。
HDRは明暗差の再現が良くなる印象ですが、暗さより明るいシーンの再現性がよくなると思って下さい。より広い明るさを再現出来るので、明るい箇所の色の階調がより豊かになることで、色域の再現性もより高まる傾向です。
建物や木々を見てみるとHDR10では、明るい箇所の再現性がUPしたので色域を再現できるゆとりが出てきたため、BT.2020の広い色域が反映されています。
本機種は広い色域のBT.2020を完全にカバー出来てはいませんが、DCI-P3 95%のカバー率のお陰で限りなくキレイなHDR10のカラーが楽しめます。
空の色を比べてみると一目瞭然です。
解像度は4Kテレビなどで比較的に簡単に見られるようになった昨今ですが、 制作者の作りたかった見せたかったカラーを再現出来るのは、HDR10に対応しつつ広い色域をカバーできる本物の性能を持った映像機器が必要です。
HT3550はネイティブ4K解像度に、DCI-P3を95%カバーする色再現力で制作者の見せたかった映像を限りなく再現できる本物の4Kプロジェクターです。
※ DCI-P3を95% を楽しむためには、HDR10ピクチャモードでランプモードを省電力に設定して下さい。
広い色域で写真を楽しむ
本機種はRec.709/100%、DCI-P3/95%のカラーカバー率なので大画面で自分が撮影した写真も楽しめます。
写真はAdobeRGBとsRGBのカラーで表現され、同じ広色域のDCI-P3とはカバレッジする方向性が異なりますが、少なくともsRGBの再現性はほぼ100%と言って良いと思います。
実際に、手元にあるカラーマネージメントに使う測色器Spyder5を使ってプロジェクターのチェックをしたところ、柔らかい環境光がある室内でもsRGBカバー率97%と写真専用モニターと同じ性能があることが確認できたので、写真を趣味とされている方はプリンターよりも巨大な印刷物を正しいカラーで見ることができます。
写真の新しい楽しみ方がこれでまた一つ、増えます。
Xbox One X を使って4K Ultra HD Blu-ray を楽しむ前に…
天吊り金具で固定し100インチスクリーンへ 投影する準備が整ったので、 Xbox One X を使って4K Ultra HD Blu-ray をいよいよ再生するぞ!
…と思ったのですが映画の再生はスタートするのですがHT3550でHDR10のコンテンツを検出してくれないというトラブルが発生。
Xbox One X の設定画面へ行き、画面とサウンドのビデオ詳細設定モードで設定の確認と変更を加えてみます。
ディスプレイカラーはHT3550が30bitまでの対応なので、Xbox One X の方も30bitに設定。
色空間は標準で問題ありませんが、写真を楽しむならPC RGBモードへ設定した方がより自然に映ります。
画面は4K UHDを選択して先に進みます。
次のビデオ詳細設定モードは…よく分からなかったので全てチェックすることに。特にYCC 4:2:2を許可のチェックは初期設定ではOFFなので、ここにチェックを入れることで無事に4K HDR10のコンテンツを検出できた気がします。
Xbox One Xを使い4K HDR10をHT3550で投影する準備が整ったのですが、今度はDOLBY ATMOS(ドルビーアトモス)がAVアンプのSR7010で検出されないトラブルが発生。
また、Xbox One X の設定でオーディオ出力からHDMIオーディオをビットストリーム出力へ、ビットストリーム形式をDOLBY ATMOSに設定。案内に従ってDolby Accessのアプリをインストールすることで、5.1.2システムのDOLBY ATMOSが設定されます。
Xbox One Xを使いHT3550の画質を調整
本当はすぐにでも4K Ultra HD Blu-ray を再生し、HT3550で投影たかったのですが…Xbox One Xには更に画面の調整ができる詳細調整モードがあるのを見つけてしまったので、ここまで来たら最後まで。
調整できる内容は三つ
- アスペクト比とシャープネス
プロジェクター本体の設置にも使える設定画面です。 - グレースケールで設定する輝度とコントラスト
輝度とコントラストの調整に使います。リモコンのショートカットボタンに輝度とコントラストがあるので、楽に設定することができます。 - 高度な色設定
これは凄い便利な機能です。大変難しいプロジェクターの色と色調の調整が可能です。
青色だけを投影するようにすればよいので、プロジェクターのピクチャメニュー→色温度から赤ゲインと緑ゲインを0まで下げることで青色だけを投影することができるので、指示に従って調整して下さい。
調整した内容はプロジェクターを使用する部屋の環境光や、投影先のスクリーン生地の違いなどで調整結果が異なります。
また、使用時間が伸びてくるとランプ自体の色も変わってくるので、定期的な調整も必要となってきます。
Xbox One Xを使ったゲームや映画再生の時だけに使える設定でもありますので、ここで設定した内容はピクチャメニューのユーザーモードに登録するのをお勧めします。
プロジェクターの色やコントラストの調整は、元となる基準を用意するのが難しいのですがXbox One Xは標準機能でテストパターンが用意されています。
4K Ultra HD Blu-rayをHT3550で投影するときに最も適した再生機器とも言えます。
感動! 4K HDR10
Xbox One Xでの画面設定に手間取って(のめり込んで!?)、やっと4K Ultra HD Blu-ray をHT3550で100インチスクリーンに投影。
映画ソフトには「グレイテスト・ショーマン」を選択。 冒頭からいきなり始まるショーから4K解像度とHDR10の明暗差とカラー再現に、ただただ圧倒されます!
P・T・バーナム の幼少期のシーンから4K Ultra HD Blu-rayのDCI-P3カラーの再現性がよく分かるシーンに、将来の奥さんになる名家の娘さんが来ているドレス。普通のBDで見ると辛うじて青い洋服!?という印象言いますか白に近い青だったのですが、 HT3550でHDR10モードで投影すると濃くて淡いブルーの洋服だったのに気付かされます。
映画「グレイテスト・ショーマン」はミュージカル映画と言っていいでしょうか。ヒュー・ジャックマンが演じるのが伝説のエンターテイナーP・T・バーナムと言うことも有り、全編通じて派手やかなショーや気品漂うドレスなど色鮮やかなシーンが数多く出てきます。
それに合わせてショーのシーンが多数出てくるので、明暗差の激しい場面などHDR10でないと再現できないようなコントラストと色彩美が怒濤のように押し寄せます。
しかも4K Ultra HD Blu-ray タイプのみDOLBY ATMOSに対応なので部屋全体から降り注ぐ音楽、4K解像度にHDR10のコントラストと色彩美がHT3550によって100インチスクリーンに投影されるので、今まで経験したことが無い臨場感に大興奮!
HT3550を購入されたら4K Ultra HD Blu-ray 「グレイテスト・ショーマン」を購入され視聴するのを強くお勧めします。100インチスクリーンへ投影された、映画のラストのショーは圧巻の迫力です!
HDR10のお勧め設定
HDR-Proというソフトウエアを実装しているので、初期設定でHDRをフルに楽しむ事が可能ですが、好みの応じて細かい設定も可能です。
- 初期設定のHDR10モードはシャープネスが強めです。4K解像度の良さを再現するならそのままでも良いのですが、個人的には少し不自然さも感じ得ないのでシャープネスは5~10の間で設定するのをお勧めします。
- ピクチャメニューCinema Masterの中にあるPixel Enhancer 4K、これは超解像技術の名称ですがここも初期設定はMAXなので、半分ほどに落とすとよいです。
- 同じくMotion Enhancer 4K、これは24Pフレームを60Pへ中間フレームを挿入し補完するシステムですが、初期設定では切りの状態なので「弱い効果」へ設定することで100インチスクリーンでスムーズな映像が楽しめます。効果は中、強と三段階で設定できますがチラつくことがあるので、お勧めとしては弱となります。
- Brilliant ColorはONで大丈夫です。
- ダイナミック絞りの設定は、視聴中に絞りが変わることで画面の明るさの変化が気になるので私はOFFをお勧めします。
- HDR輝度の設定は+1の少し明るい設定が、違和感が少なく楽しめる傾向です。
- HDR10を完璧に楽しむためにはシアタールームクラスの暗い部屋が必要です。DCI-P3のカラー再現を最大限に生かすためにHT3550では通常の6セグメント(RGBRGB)ホールに、違うフィルターを通す動作音が本体からするので、少し暗くなる傾向です。 そもそも環境光があるとカラーバランスが崩れるので、本物のカラーを限りなく求めると暗い環境は必須になることから投影の明るさが下がることへの心配はありません。
HDR10でのランプモード:SmartEcoの設定はNG
下記画像のようにランプモードがノーマル及び省電力設定ならハイライトのカラーバランスが崩れることはありませんが、SmartEcoだとハイライトのカラーが色飛びします。シーンによっては人の顔のカラーも色飛びします。
少なくともHDR10モードで投影中のランプ設定では、SmartEcoは選ばないで下さい。
※この問題も本体のファームウェアが初期バージョンでの内容なので、将来的なバージョンアップにより解決される問題かもしれません。
100インチスクリーンへ投影された映像を動画で撮影
動画は大きく二部構成になり、前半が日中のカーテンを閉めた南の部屋で投影された動画と、間接照明だけを残したリビングシアターの環境光で投影した映像をCanon EOS Rで動画撮影しています。
ビビットテレビモードで投影すると、2000㏐の明るさでも十分日中での楽しめる映像が出ています。シャッター速度が少し早かったので、DLPプロジェクターならではのレインボーノイズが確認できますが、目視ではほぼ無視してよいノイズかなと思います。
リビングシアターの環境光では、シネマモードで投影。ドローンInspire2を使い4k60フレームで撮影した動画を投影しています。4Kプロジェクターは100インチスクリーンへ投影しても見事な解像度なので、空撮映像が映えます。
カラーの再現性は、カラーマネージメントモニターSW271と比較しても大きなズレは確認できません。
HT3550で投影した元動画はこちら↓
4K 北海道の糠平湖 アイスバブルと氷の世界
4K オンネトー 空撮と微速度のテスト動画
3D映画 予想以上に感動
予想外と言いますか…DLPプロジェクターで見る3D映画は初めてだったから余計にそう思ったのかHT3550。3D映画もとてもよい感じで楽しめます!
少なくとも今まで見てきたテレビやプロジェクターのどの3D映像より、よい感じです。
またソニーのVPL-HW60で3D映画を見ると、ストロークの影響のためか長時間の視聴では目の疲れが気になることがありましたが、HT3550は目の疲れが少なく感じます。
3D映画も楽しみたい方にも本機種は、期待を裏切らない性能だと思います。
DLP Link方式 アクティブシャッター の3Dメガネが必要となりますが、社外品で良ければ格安で購入できます。
良くない点
- 動作音が気になります。静かなシーンでは少し耳障りな場合があります。
- まれに入力信号検出時にの映像の乱れが流れ続ける。入力信号の入れ替えやピクチャメニューを変えるなどすると復帰。
- レンズ前に付いている4K表示パネルが気になる。取り外せる?
- ズームレンズの最小(最大は未確認)で周辺画像が歪んで表示される。カメラ用語で樽型収差が見られるが、周辺で見られるだけなので実際の視聴では問題ありません。
- 水平シフトまたは水平補正は入れて欲しい。
- ランプモードの SmartEcoとHDR10モードとの相性がよくない。ファームウェアの更新で改善されるのを期待。
- 短焦点タイプのプロジェクターなので、テーブルの上に置いての投射だと短い距離で大画面というメリットになりますが天吊りで使用される場合、投射距離が実質短くなり既存の取付位置では、スクリーンからはみ出す可能性があります。私は100インチスクリーンへの投影だったので、最小ズーム(3278mm)では映像がはみ出します。天吊り金具の自由度が高かったので取付時に工夫することで問題をクリアーしましたが、はみ出す場合にはオーバースキャン調整で周辺映像をカットする作業が必要となります。
HT3550の良くない点を書かせて頂きましたが、映像視聴に関する致命的なデメリットは存在しないので、投影してガッカリだったという心配は無いと言っても大丈夫です。
最大の心配点が、天吊り前提での購入では光軸が本体中央ではないのでスクリーン軸上の水平中央の設置に工夫が必要なことと、短焦点タイプのプロジェクターなので、既存の天吊り金具の位置では投影距離が合わなくなる可能性があるので、そこだけは事前に確認して下さい。
BenQサイトのこちらから投影距離の事前確認ができます。言語を日本語に設定すると使いやすくなります。垂直シフトの確認も可能です。
まとめ
20万円以下で購入できるHT3550。購入される前には他のモデルも気になるかと思います。
近い価格帯の比較商品にEPSON EH-TW8400とOPTOMA UHD60があるので3機種で簡単な比較をしてみます。
UHD60 | HT3550 | EH-TW8400 | |
解像度 | ネイティブ4K | ネイティブ4K | 4K相当 |
投影方式 | 0.66インチ DLP | 0.47インチ DLP | 3LCD方式 |
明るさ | 3000㏐ | 2000㏐ | 2600㏐ |
大きさ(mm) | 498×347×288 | 380×127×263 | 520×450×170 |
重さ(kg) | 7.8 | 4.2 | 11.2 |
騒音(dB) | 25 | 28 | 20 |
シフト | 垂直+15% | 垂直+10% | アメイジング |
ズーム | 1.6倍 | 1.3倍 | 2.1倍 |
HDMI | HDCP2.2×1+1 | HDCP2.2×2 | HDCP2.2×2 |
USB | USB2.0 | 3(1.5A)&2(2.5A) | mini |
最短投影距離 | 100インチ/3.08m | 100インチ/2.5m | 100インチ/3m |
スピーカー | ステレオ8W | ステレオ10W | なし |
カラー | 不明 | DCI-P3 95% | DCI-P3 100%? |
HT3550以外の2機種は所有も視聴もしたことがないので、画像の比較ではなく使い方の比較をしたいと思います。
- テーブルの上に置いて使う
圧倒的にHT3550がお勧めです。理由に短焦点タイプのプロジェクターなので100インチスクリーンへの投影比較で他機種より-50cmも近くから投影できます。HDCP2.2対応のHDMI端子が2個あるので一つはXbox one X、もう一つはFire TV Stick 4Kの同時接続が可能でしかも2.5AのUSB給電も本体にあるので配線がスッキリします。内蔵スピーカーのクオリティがとても良いので外部スピーカーも不要なのことからも、テーブルの上に置いて使う場合にはHT3550一択と言ってもいいでしょう。 - 設置の自由
天吊り設置でHT3550は、レンズが本体中央にないので光軸の水平合わせがとても大変です。UHD60は光軸が本体中央にありますがレンズシフトが垂直にしかありませんのでやはり光軸合わせが大変です。その点、EH-TW8400は中心に光軸が有りレンズシフトも上下左右に広く、魔法にかかったような設置の自由度があるので天吊りにしなくとも、近くの棚の上やその中に入れてのスクリーン軸上中央から離れた設置による投影すら可能となります。
テーブルの上になるとHT3550が有利になりますが、設置の自由度を生かせるEH-TW8400ならテーブル端においても投影可能です。UHD60はスペック上、天吊り前提のプロジェクターとも言えます。 - 明るさで選ぶなら
結論では日中でもカーテンさえ閉めれば、どのモデルも視聴できる明るさがあります。リビングシアターの環境光があるなかでもどのモデルでも満足できる画質が映ります。問題はカラーの再現性が重要となりますので、HT3550及びEH-TW8400はDCI-P3カラーベースを高いレベルでクリアーしているので、初期設定からかなり正しいカラーで映画が楽しめます。その点、UHD60はカラー再現性についてあまり書かれてないので、正しいカラーを再現するにはある程度の知識と経験での調整が必要となりますしそもそも、どこまでのカラーをカバレッジしているのか未知数なのも少し心配です。
映画の再生で必要なカラーベースは、Rec.709とDCI-P3とBT.2020があるので明るさよりも今後はカバレッジされるカラーのレベルが大切になります。 - 3D映画も見たい
HT3550とEH-TW8400が3D映像に対応しています。 ソニーのVPL-HW60 液晶タイプと見比べたらDLPのHT3550の方が不思議とよい3Dが楽しめます。 - 静音性なら
間違いなくEH-TW8400がお勧めです。SANYOやSONYの日本メーカーのプロジェクターを使ってきましたが、本体が大きいのですが静寂性がやはり優れているので静かなシーンが多い映画ほどファンの動作音が気になります。
3機種と比較した場合、EH-TW8400の安定感がすごくいいなという印象です。天吊りからテーブルの上まで圧倒的な設置の自由度と明るく正しいカラーを表示するスペックに静寂性から迷われたらこの機種をお勧めしちゃいそうです。ただ、EH-TW8400の最大の弱点が4K相当の映像、悪い言い方をすると4K風味の映像と言うことがやっぱり気になります。その点で比較するとHT3550はネイティブ4Kとは言っていますが、1,920×1,080のフルHDパネルを4倍速(240Hz) で駆動させて3,840×2,160解像度を生成。突き詰めるとTW8400と同じ4Kパネルではありませんが、半画素シフトより全画素4倍シフトの方が低価格で限りない本物の4K解像度が楽しめそうです。
そこで比較するとUHD60は本体が大きく重く投影距離も普通なので、テーブルの上に置いて使うには邪魔なのと、入力端子がHT3550比較で致命的に不足しているので天吊り前提で使う商品かなと思います。
HT3550はコンパクトなので天吊りで設置しても頭上の圧迫感が少なく、持ち運びに便利な軽さと充実の入力端子と高音質の内蔵スピーカーに、100インチを2.5mで投影できる短焦点タイプのことからテーブルの上に置いて使う事も大前提にした商品です。
BenQは写真や映像編集向けのカラーマネージメントモニターも販売している実績から、カラーの再現性にこだわったメーカーです。HT3550も機種ごとにキャリブレーションした測定結果が、商品に印刷物として同梱されているほどの力の入れようなので4Kは当然、その先にあるHDR10から重要になるカラーの再現性というテーマで最も優れたプロジェクターの一つと言えるかと思います。
3機種と比較した場合、私はBenQのHT3550の製品をお勧めしたいと思います。
ギャラリー
お問い合わせ
すでに手元にはHT3550がありませんので、正確なお答えは難しいかもしれませんが、高い買い物でもありますので気になる点などありましたら気軽にお問い合わせください。
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